Messe Dusseldorf(GLASSTEC)視察報告
2024年12月17日
① 会場の様子
GLASSTECは2年に1回、ドイツ・デュッセルドルフで開催される世界最大規模のガラス展示会。今回は世界49か国から1,286社が8つのエリアに分かれて出展しており、中国からは最多の378社、日本からはAGCなど5社が出展していた。建材用ガラスの切削機や自動壜の検査機器など大掛かりな機械や装置が多く見受けられ、世界最大規模のガラス展示会であることを実感した。
また、カフェやバーを併設しているブースがいくつもあり、特に昼食の時間帯になると軽食やお酒を楽しみながら商談されている光景を多く目にした。
② 見学ブース
nirox (イタリア)
バイアル底面自動検査機「VISLINE」
→光学センサーで吸い込み、肉厚をコンベアー上で測定可能。生地管の内径、外径測定機→NEGへの納入実績あり。
EUROMATIC(イタリア)
当会会員である大和特殊硝子㈱ 市島工場で取り扱っているバイアル寸法検査機のメーカーで、1983年にイタリア・ベルガモで設立された。チューブローダーや成形機も製造しており、検査機も含めた一連のラインを販売している。ブースではEUROMATICの成形ラインの紹介を受けた。概要は以下の通り。
◎ZETA16-10
・16チャック(Bテーブルは10チャック)
・φ37の生地管まで対応可能。
・成形機を2台搭載可能。
・1つの成形機に50本/分のバイアルを製造可能。
◎ZETA18-10
・18チャック(Bテーブルは10チャック)
・φ31の生地管まで対応可能。
・成形機を2台搭載可能。
・1つの成形機に50本/分のバイアルを製造可能。
◎ZETA20-12
・20チャック(Bテーブルは12チャック)
・φ55の生地管まで対応可能。
・成形機を1台搭載可能。
・1つの成形機に45本/分のバイアルを製造可能。
Ambeg (ドイツ)
世界最大規模の成形機メーカー。1928年にドイツ・ベルリンで設立され、成形機の他、チューブローダーやアニーリング機を含めた製造ラインを世界各国に展開している。ブースではチューブローダーや最新の成形機についての説明を受けた。(チューブローダーの詳細は翌日Ambegの工場見学に行ったので後述)成形機では、ガス+水素で成形可能な成形機を開発中。Ambegの顧客から要望があって開発を進めているという。成形機そのものの購入は必要なく、水素用バーナーとマスフロの交換のみで対応可能なのが大きなメリット。成形時に発生するCO₂の排出量削減が期待される。また、水素が動力のアニーリング炉の検討も進められており、成形技術のさらなる向上と環境への配慮を両立して取り組まれていると感じた。
ISOTRONIC (ドイツ)
1988年にベルリンで設立された会社で、2017年からValentin(COO)、Gregor(Managing Director)の体制になってからはロゴの変更やプログラミングによるソフトウェアの内製化に力を入れている。
バイアルやシリンジなどの医薬容器の外観検査・寸法検査の測定機や品質管理システムを構築するソフトウェアを開発。検査システムは日本にも納入実績あり。
左から<バイアル底カメラ検査システム><寸法検査測定機>
SCHOTT AG (ドイツ)
1884年に設立。医薬品用管ガラスの他、家電製品や太陽光発電、建築産業など幅広い分野を展開。今回のブースではバイアルなどを再利用して新しいガラス管を製造することをアピールしていた。
SAINT-GOBAIN (フランス)
革新的建築材料・建築用製品・建材流通の3つの分野において事業を展開しているグローバル企業。
広いブースだったが、ブースのあらゆる場所で商談が行われており、世界的企業であることを実感した。
tiama (フランス)
自動壜製造における検査システムや品質管理システムを世界各国に展開。2015年に現社名に変更。スマートフォンで製造状況を監視できるシステムや、瓶1本1本にトレーサビリティをつけるシステムを開発。
OCMI (イタリア)
アンプル成形機向けホットエンドカメラ検査システムを開発。
アンプル成形時の酸素レベルを自動的に調整するために、それぞれのガラス管の加熱レベル・寸法のコントロールしている。
novopac (イタリア)
病院やレストラン向けランドリーサービスを展開しており、その事業の一環としてシールパッケージやシュリンク包装の機械などの自動梱包ソリューションを開発。
【感想】
GLASSTECは世界49か国から1,286社が出展している世界最大規模のガラス展示会ということもあり、インターフェックスなど日本国内の展示会とは規模が違うことを肌で感じることができた。また、商談をされている参加者の目つきがどのブースでも鋭く、力の入れようや本気度を目の当たりにした。この展示会ではガラスバイアルに関係している企業のブースを主に見学したが、ガラス容器という観点から言うと、バイアルよりも自動壜に関係する企業が多かったように思う。また、分野を問わず検査システムに力を入れている企業や環境に配慮した生産・製造を心掛けている企業が多く、省力化・環境面の方向性でガラス業界全体が進んでいることを学んだ。
また、今回の出張を通して語学力の無さを痛感した。今回は航空機やホテルの手配をはじめ、現地でのやり取りは先輩が全て対応してくださったので、何不自由なく現地での生活を過ごすことができた。英語でのやり取りは主に飛行機の中と現地で買い物する時のみで、聞き取ることはなんとかできたように思うが、話すとなった時に単語が全く出てこなくて焦った。高校・大学で英語は勉強していたので何とかなると思っていたが、自分が想像した以上に英語が話せてないと感じて危機感を覚え、語学をもう一度やり直そうと決意した。語学の勉強も先述した知識のアップデートにつながると思う。幸い今の時代はYouTubeやスマートフォンのアプリなど、様々な手段で質の高い勉強を無料でできる。帰国してからは実際にアプリを使って英語の勉強を一からやり直している。今後も海外出張をする可能性は大いに考えられるので、いつ海外に行っても大丈夫なように日頃から勉強を続けていきたい。