液晶・有機EL・センサ技術展 見学報告
2019年12月9日
目的:電子部品向け板ガラス加工について、最新の業界情報を得るとともに、表示素子分野でのガラス部品の用途展開について情報を共有化する。
1.ディスプレイメーカーの動向
1)ジャパンディスプレイ、シャープともに真新しいディスプレイの展示はなく、開発品の参考出展もなかった。
2)日本の液晶の終焉を見る思いである。
3)車載用に曲面形状に貼り合わせる技術が目を引いた。2枚のガラスを貼り合わせ作られる液晶パネルにおいて曲率を持たせることは、貼り合わせた際の接着材において可撓性が求められること、内部の液晶層厚みを均一に保つことの技術が要求される。
4)パネルのスリミング技術と合わせて、車載であれば高精細である必要が無いためかもしれない。携帯レベルの高精細要求の時代に何が必要かはテーマになりうる。
5)同じくJDIから展示されている電子ミラーはすでに車に搭載されているものであるが視角の広さから今後の展開が期待される。形状、設置場所は従来とは今後変更があるかもしれず、動向を注視すべき分野である。
2.ディスプレイ周辺の企業状況
1)先に述べたように、ディスプレイメーカーには注目すべき展示は少なかったが、その周辺機材のメーカーや装置メーカーはここ数年にない活気があった。
2)装置メーカーは、中国ディスプレイメーカー向けに好調が維持されている影響かと思われるが、勝ち組と負け組の差も見られた。
3)周辺の副資材については、ガラスの仕様と同じ仕向け先で必ずプラスティックメーカーの展示が見られた。
4)その中で注目したのは、某携帯電話メーカーが数年前から上市するうわさが流れている、折り曲げ式のスマートフォンを対象に、0.05mm厚のガラスと曲げ回数の耐久性を強調したフィルムの展示に注目が集まっていた。
5)ここでもガラスの対抗にいつもプラスティックがいることの現実を見た。
6)フィルムの曲げ耐久性能は5万回との説明であったが、ガラスであれば半永久的である。
7)但し、φ8と仮定するとガラス厚みは0.038mm以下が必要になるはずであるが・・・
3.その他の周辺技術
1)アスカネットのブースで見たフォログラフスクリーンを用いた虚像表示に見学者が多く見られた。
2)2枚使い(?)のフォログラフ板を液晶ぺネル上に配し、その上に見える虚像の位置に赤外線センサーを配した構造で、その虚像部に指をあてるとセンサーが検知していろんな機械操作が可能になる。
3)デモされていたのはCT断層撮影の画像で、手術中に手を汚さず画面操作が可能。
4.まとめ
1)久しぶりに少しだけ活気が戻りつつある展示会であった。
2)展示ブースの空きが目立ったが、中国企業、韓国企業の事前キャンセルの影響とのこと。
3)これが単に海外の景気衰退の現象だけではなく、このづくりの国内回帰であればと祈りつつ戻りの電車に乗った。
以上。